日用美品

菅野康晴 - 工芸青花

琺瑯のカップ アンティークス・タミゼ製 現代

アンティークス・タミゼ(恵比寿)の吉田昌太郎さんがデザインしたホーロー製のカップ。ずいぶんまえに買って、仕事場でつかっています。試作をくりかえしたという、やわらかな質感にひかれています。

紙コップ 昭和時代前期

戦前の代用品とききました。型でつくられ、土器のようでもあります。これを美しいと思う理由に、代用品・窮乏・戦争といった由来は無関係であるべきとかつては思っていましたが、いまは逆です。美しいと思ってよいのかとも考えます。

陶碗 塚本誠二郎作 現代

20年ほどまえに銀座の画廊で買いました。ここには「やきものとはなにか」「うつわとはなにか」という垂直的問いがあるように思います。たいして、いわゆる「生活工芸」派の問いは「ふつうのうつわとはなにか」という水平的なものだった気がします。よしあしではなく、両様の問いの動機に関心があります。


菅野康晴 - 『工芸青花』編集長

1968年栃木県生れ。早稲田大学第一文学部卒業後、1993年新潮社入社。
『芸術新潮』及び「とんぼの本」シリーズの編集部に在籍後、2014年「青花の会」を始める。
担当した本に、川瀬敏郎『一日一花』、坂田和實『ひとりよがりのものさし』、中村好文『意中の建築』、
金沢百枝・小澤実『イタリア古寺巡礼』、赤木明登・智子『うちの食器棚』、木村宗慎『一日一菓』、
三谷龍二+新潮社編『「生活工芸」の時代』、李鳳來『李朝を巡る心』など。