日用美品

猿山修 - さる山

やっとこ鍋

東屋制作「木屋のやっとこ鍋」。純銅製錫引きの鍋は、一番小さな五寸でも一般的なガス台の五徳に安心して乗せられるよう、広めの底を持つ。吹きこぼれしにくい形状を探った結果なのだろうが、使い勝手が良いだけではなく、その輪郭が美しい。銅製品ならではの経年変化も愛おしいものだ。

Yard-o-Led シャープペンシル

英国の純銀製シャープペンシル。胴内に3インチの長さを持った替え芯を12本収めることが出来る。芯の合計が丁度1ヤードなので製造元の名称となったらしい。僕は、ビートルズ全盛期に生産されたこの型に惹かれ愛用している。銀の和らかい肌と程よい重みと時代を反映した緩やかな曲線は、使い手に優しく美しい。

濱中史朗の碗

日々の食事に使っていたのだが、台所のタイルの上で一度そのかたちを失った。しばらく我が家を留守にした後、美しい日用品として戻って来てくれたのだ。黒田雪子は、いくつもの小さな破片を丁寧に繋ぎ合わせ、失われた箇所を土の色に合わせ白漆を使い補ってくれた。今は二人の美しい手仕事が、ここにある。


猿山修 - デザイナー

1966年生まれ。麻布にて、ギュメレイアウトスタジオ/古陶磁を含むテーブルウェア等を扱う「さる山」を主宰。
グラフィック、プロダクト、及び空間デザインを広く手掛ける。各地の窯元等にデザインを提供する一方、
陶工、金工等の作家との共作も多数。演劇、映像及び展覧会のための作曲・演奏活動も行う。