House. 増満兼太郎 レザーボウル
一見するとアフリカのとある民族の伝統的な道具の様だが、実は山梨に暮らす造形作家の手による品である。 従来は日の目を見る機会の少なかった、「床革」と呼ばれる牛の革を削いだ時に出る部材を濡らして成形し、靴作りに用いる釘で留めた素朴な作りに、ブリコラージュ的な美しさを感じる。この容れ物の出現により、我が家のスリッパ入れ問題が解決した。後日、更に小さなサイズのものが登場した事で、今度は積年のリモコン入れ問題も解消された。
竹内紙器製作所 Stapled
同じ規格の品が整然と並ぶ姿がもたらす「反復の美」は、日用品の美しさを紐解く上で大きな手掛かりになる要素ではないだろうか。 ボール紙をホチキス留めしたこの箱は、単体でも簡素な良さがあるが、重ねる事で更に魅力が増す。紙材を蝋引きし、余分な蝋を熱風で飛ばす工程を一つづつ調整しながら行う為、表情が微妙に異なる。その積み上げた姿の心地好い揺らぎゆえか、書類の整理の為にまとめて購入したのに半分はまだ空のままで、使うというより日々眺めているという状態に等しい。だが、これもまた日用品との関わりの一つのあり方なのかもしれない。
イワキガラス リップボウル
フラスコやビーカーといった実験器具が好きな人の層と、入れ子が好きという層は、かなりの割合で重なっているのではないかと踏んでいる。かくいう私もその公約数の住人であるが、この耐熱ガラス製の片口ボウルは、実験器具然としたアノニマスな佇まいでありながら、4つのサイズが波紋の様に入れ子になって収まるという、まさに好物と好物を掛け合わせた運命のプロダクトであると言っても過言ではない。温度差120℃の範囲内での急冷と急加熱に耐えうる機能性も持ち合わせるが、落としたらあっけなく割れる所も儚くて良い。
小林和人
1999年、国内外の生活用品を扱う店 Roundabout(ラウンダバウト)を東京 吉祥寺にて始める(2016年に代々木上原に移転)。
2008年には、やや非日常に振れた品々を展開する場所 OUTBOUND(アウトバウンド)を開始。
スタイリングや店舗プロデュース(Archivando/渋谷、日常設計研究室/台北) 、内装ディレクション(RICORDO/大阪、14g/徳島)、
執筆等も手掛ける。著書に『あたらしい日用品』(マイナビ)がある。
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森岡督行 + 井出幸亮(ゲスト) + 猿山修
随時更新いたします。
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