工芸のウチ.ソト

皆川明 - ミナ ペルホネン

ウチ ミナ ペルホネン テキスタイル

私がテキスタイルを制作する際に自身が関わるのは織の組成への思考と図案を描くという事になる。それ以外は機械で制作している。
ミナ ペルホネンのテキスタイルが工芸かどうかという議論は工芸の範囲を考える上で有効かもしれない。
私は私達の仕事が工芸か否かという事への関心はないが、工芸というものがこれからどの様な‘ものさし’を持ち未来に向かっていくのか
非常に興味を持っている。私達の暮らしが変わり行く中で意識が変わらなければ相対的に不自然な事になるだろう。

ウチ ミナ ペルホネン テキスタイル

私がテキスタイルを制作する際に自身が関わるのは織の組成への思考と図案を描くという事になる。それ以外は機械で制作している。
ミナ ペルホネンのテキスタイルが工芸かどうかという議論は工芸の範囲を考える上で有効かもしれない。
私は私達の仕事が工芸か否かという事への関心はないが、工芸というものがこれからどの様な‘ものさし’を持ち未来に向かっていくのか
非常に興味を持っている。私達の暮らしが変わり行く中で意識が変わらなければ相対的に不自然な事になるだろう。

ウチ 安藤雅信さんとの器の共作

安藤雅信さんという、作家として確立された方の器に絵付けをするという行為は、物理的な可能性は有るものの、互いの信頼がなければ成り立たないという意味で、特異な存在だと思っている。私の絵付けは言わば安藤雅信さんの度量の中に許容された自由から生まれているのだと思う。この様な共作として成り立っている器というものは案外少ないのではないかと思うと、私はこの機会をとても尊く感じる。

ソト 食事の時間

私は暮らしの時間の中にこそ工芸の価値を見出だしそして意味を汲みとる機会があると思っている。作家の物に込めた想像や審美の眼差しは日々の時の中で物と向き合い愛着というこちらの眼差しが芽生えたときにようやく概念ではない相互の関係性が生まれるのではないかと思う。それは物質が記憶や感情を含まれまさに生を持つということなのだと思う。

ソト 蚤の市

私には蚤の市に並んだものたちが愛おしく見える。みんな形を持ち存在し、時には私自身の人生より多くの時を経てその経年を表情に刻み更にまた新たな暮らしの場へと旅立とうとしているように映るからだ。と同時にその物を作った古えの作家の思いが時の流れを携えて私にその想いを伝えてくるかの様に佇む姿に敬意や愛おしさを感じる。作家の生命の意味が形を通して伝わってくる。


皆川明 - デザイナー

1967年生まれ。1995年にファッションブランド「minä(現minä perhonen)」を設立。
時の経過により色あせることのないものづくりを目指し、服にとどまらず家具や器など日々に寄り添うデザインを手掛ける。
テキスタイルデザイナーとして、デンマークのKvadratや、スウェーデンのKLIPPANなどの
テキスタイルブランドへもデザインを提供している。
2006年毎日ファッション大賞、2015毎日デザイン賞、平成27年芸術選奨美術部門文部科学大臣賞受賞。
主な著書に『皆川明の旅のかけら』(文化出版局)、『ミナを着て旅に出よう』(文春文庫)、
『はいくないきもの』(クレヨンハウス。文:谷川俊太郎、絵:皆川 明)などがある。